法要と黒猫

祖父の四十九日の法要が終わった。

 

お焼香をし、位牌に魂を宿して頂き、遺骨は墓の中へと入っていった。

 

祖父の奥さん、つまり祖母は、母が高校生の時に亡くなった。今回、新しく作った位牌には祖父と祖母、2つの戒名が並んで書かれている。ふと母が、じいちゃんはオカンが死んじゃった後50年近くも一人で頑張ったんだから、もうそろそろ2人一緒にしてあげないとね、とぽつりと言ったことを聞き逃さなかった。

 

50年近くも1人で、仕事を纏め子どもを食わせ育てるなんて、自分に出来るだろうか。誰も普段は口に出さないけれども、こういう言葉をふと聞いた瞬間にその人の凄さというか、生きていた重みを感じる。

 

寺での食事中、ご飯の匂いに惹かれてか黒猫が部屋へ入って来た。

 

座敷のテーブルの下からひょっと顔を出して、食べ物をあげる人の横にちょこんと座って魚を摘むのを待っている。黒猫が入って来てから明らかに部屋の空気が変わり、何とも言えない和やかで、穏やかな雰囲気が流れた。

 

餌を待つ顔が憎たらしいほどに堂々としているけど、何とも愛らしいその眼に思わず猫が飼いたくなってしまった。そんなに欲望に忠実に生きるなんて!もしかしたら、愛情を注ぐ対象が欲しいだけかもしれないが。少なくとも対象が定まっているだけまだ健全である。