舞台

 

舞台 (講談社文庫)

舞台 (講談社文庫)

 

 個人的には昨年のベストヒットだった『サラバ』の衝撃が凄まじかったので、他にも手軽に読める西加奈子作品という事で選んだ。

 

ニューヨークへの初めての一人旅を通して「見栄とは何か」を死んだ小説家の父へのしゃらくさい反抗と対峙させて描いた作品。

 

登場人物はニューヨークを歩き回る主人公ただ1人で、ずーっと悶々としながら他人から見える自分のイメージとの向き合い方を試行錯誤していく。凄く嬉しかった事が起きた後には必ず「調子に乗るな」という戒めを込めて不幸が襲い掛かってくるという強迫観念や、いくら自由に発言出来るからといって、自分の世間からの評価を逸脱すればそれはただ気持ち悪いだけだから調子に乗るなという発想は読んでて共感出来た。確かにそうやって生きている。思いを自由にぶつければいい!なんて言ったって、実はぶつけ方にだって正解不正解がある。わきまえない奴はただのクズ。

 

西加奈子が描く鬱積や悶々とした感情の動きはとても清々しい。本当であれば暗い、辛い、重いような感情もなぜか少し晴れやかで、共感し易くクスッと笑えるのだけれど、絶妙に感動する。このバランス感覚が読んでて上手いなぁと思える。こんな一見軽い文章だから、スラスラ読み進められるし、気付いたら読み終わってるようなサラリとした印象を持つ。

 

本人もきっとカラッとした明るいあっけらかんとした性格なのだろうな。こういう性格を羨ましく思う。

 

今年はもっと純文学を読もうと思う。