汗。

7月9日。月曜日。

 

寝苦しさで眼が覚める。蒸し暑いからクーラーを付けたままにしておいたのに。どうやら設定温度が高過ぎたようだ。身体中がベタベタする。この不快感はシャワーを浴びた後でも拭えなかった。身体から溢れる脂を多量に含んだ汗。原因は食生活にある。酒とスナック。タンパク質、ビタミン、脂質など人間を構成する栄養素は1ヶ月サイクルで全てが入れ替わる。栄養素がどこから摂取されるか。言わずもがな、普段の食べ物・飲み物から。つまり怠惰な食生活の結果が血となり汗となり身体から噴き出しているのだ。身体中が脂で黄ばんでいる。一刻も早く全てを体外に放出し、水分の入れ替えがしたかった。

 

だが、こういう日に限って仕事が終わらない。ようやく帰宅出来たのは今日が終わろうとする夜半。夜半でも蒸し暑さは変わらなかった。

 

珍しく終日を横浜で過ごしたので、移動時間で『教団X』を読み終えた。596ページ。新興宗教とテロ。国の右傾化。洗脳とセックスによる解放。描こうとしている内容は現代に即した社会的な内容ではあるものの、どうも実体が見えないというか「若い」と感じざるを得なかった。理由はきっと、筆者の実体験が一つも描かれていないから。現代社会同等の複雑な問題を描くにはまだ世界観の膨らみ方が不足していたように思われる。新興宗教の深みも見えないし、セックスの表現でさえ少々稚拙だった。外界を描いている筈なのに内部しか見えない。あと30年後に同じ題材で小説を書いたらきっと凄いものが出来るだろうに。

 

自宅に戻ると、どうしても脂分を出して身体を物理的に疲労させたかった。淀んだ水分を外に出し、筋肉と脂肪を疲れさせ、まがいなりにも「健康な自分」に浸りたかった。

 

1時間かけて外を走った。Klaxonsのファーストを大音量で耳に挿れて。

 

外は暗い。夜だから。

運動しているはずなのに、不健康な気がするのは何故だろう。

 

走っている。身体を燃焼させ、大量の汗をかきカロリーを消費させているはずなのに、健康な自分を味わえない。

 

走り終わり、起動させていたアプリを止めるといつもの安田美沙子の声が流れてくる。

 

「今日のランで先週の合計距離を突破しました。今週よりも来週。来週よりも再来週。どんどん距離を伸ばしましょう」

 

どうせなら、わざわざ夜中に走らなくても健康を感じられるような代謝の良い身体が欲しかった。