10月17日。

家に帰らないと1日が終わった感覚がない。着替えもせず、即席で済ませた整髪料で髪を整え再び職場へ向かった。

 

朝の新橋は本当に汚い場所だと思う。

 

夜明けまで営業していたであろう雑居ビルの居酒屋からは、既に閉店し施錠がされているのに人気に似た何かが入口から溢れ出している気がする。そんな雑居ビル郡を両側に、事務所へ進まなければならない。よく見ると店から溢れていたのは人気ではなく虫と鼠だったりする。公園ではサラリーマンがホームレスに混じって煙草を吹かしている。どちらもこの場所では小汚く見える。

 

新橋と汐留。

 

ものの5分も歩かないのに歴然とした違いがある。汐留を彷徨くと決して新橋側では出逢わないような人が闊歩している。

 

事務所では新人に見積の作り方を教えていた。

 

教えていた、というより正解だけ渡して答え合わせさせてたという表現の方が正しいかもしれない。解説なしで解答を渡して自習させているようなものだ。大学時代、個別指導塾でのバイトでも同じような事をしていた。解答・解説を字で伝えようが口で伝えようが出来る奴は出来るようになる。どちらが好みかだけ聞けばいい。

 

見積の作り方はExcelの弄り方が7〜8割を占めるから、解答と全く同じになるように作ってもらって感覚で掴んでもらうしかない。

 

そうやって結局3時間くらいを費やした。3時間が1.5時間になり、いつの間にか10分、いや5分になる。これから何百と見積を作る事になるのだから。

 

家に帰ったが、そこは梱包されたダンボールで溢れており、また1日が終わった気がせぬまま翌日を迎えることになりそうだった。