クイーンヒストリー

アップリンク吉祥寺が会館して3か月。

 

はじめて足を運んだ。吉祥寺に住んではじめてだ。雰囲気といい上映している作品といいこんな良い場所が徒歩圏内に出来て嬉しい限りだ。

 

観たのは「クイーンヒストリー 1973-1980」。

 

全編が評論家へのインタビューで構成されたクイーンの軌跡。アルバムにするとファーストの「Queen 戦慄の王女」から頂点を極めた「The Game」までの8枚。クイーンの活動に合わせて曲とともに振り返る内容だった。

 

面白いなと感じたのは、ピンクフロイドの「狂気」やイエス、ブラックサバス、キングクリムゾンなどの少々難解なハードロック・プログレッシブロックが台頭した70年代初~中盤に、アルバムのヒットではなくキャッチーなシングル曲によってチャートを賑わし、市場に存在感を放っていった点だ。

 

少し難しい方が通にはウケる。70年代のロックは細分化され、難しい世界観の方が好まれる風潮にあったようだ。The Whoもコンセプトアルバムを出したり、ツェッペリンやレインボーが10分を超える曲をリリースしたり。どちらかというと世界観を統一したアルバムの方が好まれる傾向があったのに対し、クイーンは「ボヘミアン・ラプソディ」1曲でそれをやってのけた。

 

勿論「Sheer Heart Attack」や「オペラ座の夜」はアルバムとして絶対的に名盤だが、際立って有名なのはアルバム全体というより、「ボヘミアン・ラプソディ」や「キラー・クイーン」「Another One Bites The Dust」といった個々のシングル曲であり、「We Will Rock you/伝説のチャンピオン」の当時としては画期的だったダブルA面のEPだった。

 

アルバムよりシングル曲にスポットが当たるパターンは日本で言うところのジャニーズのようなアイドルと共通する部分があると思う。キャッチーで皆がそらで口ずさめるフレーズはスタジアムクラスでのライブにおいて一体感を醸成するのに欠かせない。クイーンがスタジアムロックバンドと形容されるのもこの辺りから来ているのだろう。映画の中でも「We Will Rock you/伝説のチャンピオン」は国歌ばりに皆が口ずさめると語られていた。パンクが台頭した70年代後半にあってもクイーンは一切影響を受けていない。このオリジナリティは凄いよね。

 

そんなキャッチーなメロディと、ピアノで作曲されるに由来したAフラット、Eフラットなどの黒鍵を基軸にしたギターではまず作らないようなコード進行が日本のポップスに合ったのだと思う。クイーンが本国より日本で最初に人気が出たのもこの辺りに理由がある気がする。「手を取り合って」や「Somebody To Love」に顕著に出ている。

 

「キラー・クイーン」でブレイクし「ボヘミアン・ラプソディ」で9週連続のチャート1位を獲得。「We Will Rock you/伝説のチャンピオン」で名実ともに世界規模のスタジアムバンドへ変貌を遂げ「Crazy Little Thing Called Love」でUSチャートを征した。その結実が「The Game」らしい。

 

このアルバム、すごいよね。だって「Play the Game」「Another One Bites The Dust」「Crazy Little Thing Called Love」「Save Me」とほぼベスト盤みたいな曲が続くんだもん。好み関係なく誰しもが好きになると思う。

 

といった感じで正味2時間、偉大過ぎるクイーンの軌跡をがっつりと見せつけられて思うのは、ファーストから順にアルバムを聴いていきたいということ。この8枚以降だって「HotSpace」「The Works」「A Kind Of Magic」「The Miracle」「Innuendo」と89年までアルバムリリースは続く。精力的なバンドだよね。そして敢えて抜いたフラッシュ・ゴードンを忘れずに。

 

この映画、クイーン好きなら絶対に見たほうが良い。オススメ。良さと凄さを再認識出来るし、それらがインタビューで言語化されるから、とてもクリアーにクイーンを理解出来る。

 

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映画の影響もあってこんなにクイーン熱が再燃しているのだから、サマソニにでも来ておくれよ。ポール・ロジャースでもアダム・ランバートでも俺は見たいよ。