ミック・ロンソン

デヴィッド・ボウイは知っているようで実はそこまで詳しくない。だから、ミック・ロンソンの名もあまり良く存じていなかった。

 

初期のボウイを語る上で不可欠なギタリスト。ミック・ロンソン。ボウイのバックバンド、スパイダーズ・フロム・マースに参加。ギターだけでなく、クラシックにも精通し、ピアノやバイオリンも弾けるマルチプレイヤー。『Life On Mars?』のピアノをはじめ、初期ボウイの大半の曲をアレンジ。

 

ボウイ名義のファーストや『世界を売った男』を聴くと判るが、彼の初期はフォーク色が強い。バレエやパントマイムなどパフォーマー的要素とバイセクシャルなイメージの強い彼をロックスターにしたのは『Ziggy Stardust』であり、そのアレンジはミック・ロンソン無しでは存在し得なかったそうだ。

 

映画の中でミック本人が「ストーンズにミックとキース、ビートルズにジョンとポールがいたように、偉大なバンドでは2人の重要人物がキーになる。デヴィッドの場合、それは彼と俺だった」と語っていた。

 

しかし、彼は世間からそこまで評価されてない。ボウイの元を離れ、ルーリードやモリッシーのプロデュースをこなす後、肝臓癌で亡くなってしまう。もっとボウイの元でギターを弾けば良かったのか?彼らが共に創作した期間は僅かに2年足らずだったようだ。

 

ミックの人生を振り返ると、音楽で飯を食う泥臭い現実が垣間見れる。ボウイの元を離れた理由はブレイクの後も変わらない週40ポンドという安いギャラだし、モット・ザ・フープルのイアンの元でギターを弾くのも金払いが早いからと冗談めかしてた。勿論、好みが合うのは大前提のようだが。更に末期の肝臓癌と分かった後もお金には苦労したと妻のスザンヌ・ファシーも話している。才能とセンスがあろうとも、それが評価される結界的な要素とは限らないし、運も必要なのはどの世界でも変わらない。

 

生前、彼が最期に作った『Heaven and Hull』というアルバム中の『Colour Me』。この曲で20年ぶりにボウイと共演している。末期癌で残された少ない余生の中、親交のあるミュージシャンと共に集まって作ったアルバムだそう。ブルージーでシンプルなコードと抑揚のない歌い方がボウイの特徴をよく引き出していた。

 

Colour Me

Colour Me

  • ミック・ロンソン
  • ロック
  • ¥250

 

話は変わるが、初期ボウイの中では『Hunky Dory』が一番好きだ。全編に流れるクラシカルな雰囲気と少しジャジーなピアノとアコギ。激しくロックするボウイへと移行する少し前の過渡期。このアルバムの制作に関わったのがミック・ロンソンだと知れただけでも映画を観に行った甲斐があった。

 

Life On Mars?

Life On Mars?

 

週頭の夜の話である。

 

f:id:leonida_nara:20190326002719j:image