Bowieの70s

デヴィッド・ボウイのオリジナルアルバムをもう一度聴き直している。

 

きっかけになったのは、UPLINK吉祥寺で見つけた「評伝デヴィッド・ボウイ 日本に降り立った異星人」という本を読んでから。

 

評伝デヴィッド・ボウイ 日本に降り立った異星人(スターマン)

評伝デヴィッド・ボウイ 日本に降り立った異星人(スターマン)

 

 

ボウイの活動を年表形式に章立てて紹介している書籍なのだが、晩年のボウイのライナーノーツも担当していた吉村栄一さんが著者なだけあり、日本との繋がりにフォーカスした内容を多く取り扱っている。ボウイが親日家で特に京都を好んで訪れていたことはファンでなくとも有名な話。実際、京都に築400年する家屋を購入しようと考えていた時期もあったようだ。

 

この本。まだすべて読み切っていないのだが、活動の中で特出すべきはボウイが全キャリア通して固定バンドを組まなかった点。ボウイの音楽性がアルバムによって異なるのはその為であり、だからこそジギースターダストとしてブレイクした後も流行と個性を上手くミックスさせて第一線で活躍し続けられたのだろう。

 

ジギー時代のボウイは最もポピュラーなボウイのイメージだ。アルバムでいうところの『Space Oddity』から『Hunky Dory』『ジギースターダスト』『Aladdin Sane』までの約4年間。グラムロックや60~70年代のブリティッシュロック、ハードロックを基軸にした、いわゆるバイセクシャルでロックアイコンとしてのボウイ。

 

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このイメージね。

 

しかし、この頃より音楽的により多岐で洗練された時期が気になった。

 

それは70年代中盤から1980年まで。RCA Recordと契約を解除するまでの時期。

 

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(これは80年代初頭に京都に来日した際のフォト。ロックスター期より一層スマートで洗練されている。この時期ね)

 

大きく分けて『ダイヤモンドの犬』から『Staition to Station』までのアメリカン時代。ブライアン・イーノとともに『ロウ』『ヒーローズ』『ロジャー』の俗に言うベルリン3部作を制作したベルリン時代。そしてその集大成的なアルバムとしてニューヨークでキングクリムゾンのロバートフィリップを迎えて制作した『Scary Monsters』。

 

この7枚。『ダイヤモンドの犬』は未だジギー時代のボウイを引きずっている感があるロック調の曲が多いが、次作の『Young Americans』からは音楽性が多岐に渡り、ボウイの中でも最も充実した時期なんじゃないかと思わせる程にすごい。というか、ベルリン期の『ロウ』と『ヒーローズ』に至ってはまったく色褪せていない。むしろ普通に最新の音楽に聞こえる。今聴き直してもね。

 

アメリカン時代はボウイがアメリカ進出に際しマネージメントを担当したトニー・デフリーズとの金銭トラブルやバンドメンバーとの確執に喘いだ時期。グラムロックと訣別し、完全にR&B、ソウル、ファンクなどをベースにした『Young Americans』と『Staition to Station』の2枚を制作。

 

『Young Americans』の方が楽器の種類も多く、アルバム全体としてキラキラと輝いている印象だ。唯一、ラストに収録されているジョンレノンとの共作『Fame』がシックでモノクロなファンクっぽい曲として異彩を放っている。

 

 

逆に『Staition to Station』はシンプルにまとめられ、アルバム全体を通して聴きたくなるような曲構成になっている。『ゴールデン・イヤーズ』や『TVC 15』がポップで聴きやすい。黒人音楽であるソウルをいかにして白人がプレイするかに重点が置かれたそう。

 

 

この時代に精神を退廃させドラッグ漬けになったボウイはイギーポップとともにベルリンへ移住する。元はパリの古城を改築したスタジオを使用していたらしいのだが、生活環境が劣悪だった為にベルリンのハンザスタジオへ移動した。ここでボウイは質素で健康的な生活を送り、カンやノイ・タンジェンドリームやクラフトワークといったクラウトロックに傾倒していく。

 

実際、『ロウ』と『ヒーローズ』では、収録曲の半分がインストでこの影響がモロに出ている。元から持つボウイの退廃的かつ耽美な世界観がシンセのループ音とミニマムな曲構成にマッチしていて、これがめちゃくちゃにカッコいい。

 

『ロウ』がボウイのキャリアの中でも最高傑作と呼ばれることが多いらしいが、『ヒーローズ』よりもクラウトロックの要素が強いと思う。多分、クラウトロック独特の不協和音やシンセ音が多く使われている為だろう。『Sound and Vision』や『Be My Wife』などのボーカル曲は好きだけどね。

 

 

個人的には『Heroes』や『Sons of the Silent Age』が収録されている『ヒーローズ』の方が音の派手さや壮大感があって好みだ。全曲通してベースのフレーズもクールだし『Sons of the Silent Age』のサックスのメロディも良い。アルバム通しても最後まですらっと聞けてしまう。余談だけどサックスの音って本当にノスタルジーを感じる。最近では使用するアーティストが減ってるから残念でならない。M83のようにアルトやソプラノサックスをもっと多様してもらいたいものだ。

 

 

 

3部作のラスト『ロジャー』ではもはやトーキングヘッズやポップグループのようなエスニックな東洋・アフリカの民族音楽に傾倒していく。前2作と比べるとちょっと聴き辛いような気もするが、次作の『Scary Monsters』に入ると一転してキャッチーなメロディが耳に残るようになる。

 

ボウイってキャッチーさとシュールでニッチなメロディとの上手いバランスで成り立っている思っている。そこがカッコいいし凄いところ。決してメジャーで王道でない。ちょっと難しいの。簡単じゃない。

 

そのバランスがどちらに傾くかが各アルバムでの見せ所で、『Scary Monsters』収録の『アッシュズ・トゥ・アッシュズ』のイントロなんかはとにかく絶妙なバランス感覚で成り立っていると思う。『レッツダンス』にいってしまうともはや王道で商業的になり過ぎてしまうから。

 


 そんな絶妙なバランスなのにも関わらず世界的なスターになっているのだからね。やばいよね。この7枚でいうとやっぱり『ヒーローズ』が最高に好きだ。

 

ここまで書いて7枚のアルバムの良い所を1回分のブログで書き記すのはちょっと難しいのかなと感じてしまった。1枚につき1回分でも良い位かも。

 

「評伝デヴィッド・ボウイ 日本に降り立った異星人」は現在87年リリースの『Never Let Me Down』まで読み進めた。ライブ・エイドも終わり、俳優としてのボウイが輝いていた時期だ。80年代の音楽はまたディスコやヒップホップやダブ要素も取り込んで更に多様になっていく。3月中には読み終わる予定なのだけどね。読んでいる時期とその時期のアルバムを聴きながら並行で楽しんでいる。

 

2016年まであと足掛け30年近く。本当に読み終われるか。ひとまずベルリン期にボウイがイギーと共作した『チャイナ・ガール』あたりからまた聴き始めたい。まったく異なる両者のチャイナ・ガールがまた面白いのよね。

 

チャイナ・ガール

チャイナ・ガール

 

China Girl

China Girl