精神的な無人島。

西加奈子のエッセイを読んでいたら「あなたがもし無人島に何か1つ持って行くなら?の答えで性格が分かって面白い」というものがあった。

 

日用品を答える人もいれば、無人島で生きる覚悟を鼓舞するアイテムを答える人、果てはどこでもドアや船という質問のルールを無視した回答まで、そのバリエーションの広さが質問をより魅力的にしてるんだと思う。

 

エッセイはその後、無人島に1枚だけCDを持って行くなら?という質問になり、筆者が好きなスカのプリンス・バスターのアルバムを答えるのだが、この質問。サラッと答えられるように見えて裏の裏まで見透かされているような、何処かしらでセンスを問われているような非常にややこしい質問のように思えてならない。

 

特に「1枚」というのが解せない。

 

そもそも定額配信に慣れきった今の10〜20代世代には「1枚」という概念が無さそうだ。「えっ?プレイリストにしてまとめて持っていけば良いじゃない?」ですべて片付いてしまいそうだ。この質問時代がおっさんおばさん世代に向けた質問、ということだろうか。

 

更にこの「1枚」てのは、時期によって大分異なるだろう。気分によっても大きく変わる。今は初夏だ。この時期に最も聴きたくなるのはeverything but the girlの「82-92 Essence and Rare」だ。彼等の代表曲がすべてアコースティックバージョンとして収録されていて生暖かく清々しい気候と何ともなく一致する。

 

でもこれが真冬の荒涼とした夕陽が地平線に落ちていく時期であればM83の「Hurry Up, We're Dreaming」を選ぶ。サイン波のベース音とアルトサックスのソロが何ともノスタルジーを誘うから。

 

気候なんか関係ない。上がれば良いんだっていうのであれば、幽☆遊☆白書の主題歌集を持って行く。「さよならbyebye」や「太陽がまた輝くとき」は上がるだけじゃなく落ち着いて安定出来る。世代的な思い出補正も十二分に発揮されてテンションは最高に上がる。

 

そうやってつらつらと書いている今聴いているのはVeronica Fallsの「Teenage」だったりするからもう選べる訳がない。カサビアンもボウイもトムトムクラブもティンティンズも捨て難い。

 

しかしまぁ、こうやって人は好きな曲を何曲も上げて時には人に、時には1人で、その大好きで思い入れが深い曲に酔いしれる。これが本来のカラオケの楽しみ方なんじゃないかって思えて来る。残念ながら選んだ曲の半分近くの洋楽はカラオケに無いんだけれどね。だからそれっぽい曲を作って演奏したいってなるのかもしれないけれども。

 

こういうわちゃわちゃした話で盛り上がることを西加奈子は「精神的な無人島」と形容してた。貴方の「精神的な無人島」は一体何だろうか?音楽や映画、本などジャンルを区切ったら朝まで楽しめそうだが、酒が回ればいつもこんなようなことを話している気がする。

 

まにまに (角川文庫)

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